混合ワクチン(狂犬病予防ワクチンは入っていません)といえば毎年接種している方も多いと思いますが、このたび新しい接種の仕方が世界小動物獣医師会(WSAVA)より発表されました。
とは言え、2007年からあるものなのですが、数年ごとに改訂され今回2015年版が発表されたものなのです。
ちなみに、今回ガイドラインを作成したメンバ-には我々獣医師がしばしばお世話になっている、東京大学獣医内科学教室教授の辻本元先生も参画しており、より身近なガイドラインとなり得るものだと思います。そしてこのガイドラインは、現時点の科学的根拠(エビデンス)に基づき作成されています。
(ガイドライン作成の経緯は次のHPでご覧になれます。2010年版は日本語になっていますが、2015年版はまだなっておりません。)
http://www.wsava.org/sites/default/files/WSAVA%20Vaccination%20Guidelines%20Japanese.pdf
ワクチンの分類
わんちゃん、ネコちゃんとも、重要不可欠な「コアワクチン」とその子の生活環境、飼育状況に合わせて必要ならば打つ「ノンコアワクチン」を区別します。
具体的には、わんちゃんのコアワクチンは、ジステンパー、伝染性肝炎、パルボ腸炎です。ネコちゃんのそれは、猫ヘルペスウィルス1型、カリシウィルス感染症、猫汎白血球減少症です。(いわゆる3種混合ワクチン)
ノンコアワクチンには(日本では )パラインフルエンザ症、レプトスピラ症、ボルデテラ感染症、猫白血病、猫エイズ、クラミジア症などがあります。
コアワクチンの接種間隔
子犬・子猫の場合、生後6~8週齢から始めて、2~4週間ごとに接種し、その子が16週齢以上になるまで繰り返します。これは、お母さんより譲り受けた移行抗体(免疫)が16週齢まで続く可能性があるためです。
その後は半年後もしくは1年後に追加接種をします。それ以後は3年以上空けて追加接種をいたします。
ネコヘルペスウィルス1型とカリシウィルス感染症については、複数のネコちゃんとの接触があるとか屋外に出かけるなど、感染リスクが高い場合は、毎年接種されることが推奨されています。(感染リスクが低いネコちゃんは3年以上空けて接種)
「年一回のヘルスチェック」の重要性
ワクチン接種は注射と同時に健康診断のよい機会でした。これが3年に一回となるとそれだけ病気を発見する機会が減ってしまいます。
年一回は問診や身体検査をして問題点を明らかにして、必要に応じて寄生虫コントロール、栄養管理、歯の衛生管理、シニアケアプログラム(心疾患、腎臓疾患、がん検診) 行動学的カウンセリングをすることも推奨されています。